彼女たちの検品精度は素晴らしいです。
毎朝7時から業者さんが食材の材料をトラックで搬入してきます。
それを社員の女子たち数人が検品します。
肉の袋についている長さ3mmほどのわずかな破片も見逃しません。
細い髪の毛が混じっていることもあります。
絶対に異物は見逃しません。
保冷車できたのに温度が16度もあるお豆腐。
これはおかしいだろうと、カンが働きます。
冷凍の食材が入っているビニル袋に針の穴ほどの傷が。
重なった袋の角が当たったのか。
返品です。
この作業は精度とスピードを要求されるので、リーダー役の副調理長は時に大声を張り上げて叱る声が聞こえます。
「何でやりかけのまま行くのよ! 中途半端なことしないでくれる。迷惑なのよ。」
私の白衣についていたゴミをそっと取ってくれた人とは思えないなー。
それだけ真剣ってことです。
検品作業は9時前まで続き、舞台は下処理室へと移ります。
入ってきた食材は、野菜と肉・魚に分けられ別々の処理室に入ります。
野菜はきれいに洗われ皮をむかれます。
肉は袋から取り出され、テーブルに並べられます。
3000食の材料は相当な量です。
たとえば、ジャガイモとかニンジンなどは、ひとかかえもある樹脂ケースで各5杯分です。
どんな小さな異物もこの時に発見されます。
食事に入る異物は、毛髪、ビニル手袋の破片、小さな虫などです。
2~3mmの大きさの異物は確実に発見され取り除くと聞いておどろきました。
彼女たちはプロです。
彼女たちの職人技で給食の安全が確保されているのです。
私はと言えば、彼女たちの仕事に感心しながら、大きなお尻を眺めていたりします。
不埒なことを考えています。
急に振り向いた副調理長が
「施設長さん。おいしいお昼作りますからねー。」
と大きな声で言う。
「う、うん。」
見透かされたような気がして焦る。
毎日の風景です。
彼女たちは分刻みの作業スケジュールで時間に追われているから、緊張感が伝わってきます。
現場はいいなあ。