今年度で再就職の期限が切れるので、今年が給与所得者としては最後の年末調整です。
2018年から制度が変わって、106万円の壁ができたりしましたが、要点だけをまとめてみました。
103万円の壁(税金の壁)
奥さまなど配偶者の収入が年103万円を超えると、超えた額に対して配偶者が自分で所得税を納めるようになります。増えた所得に対して所得税(5%程度)と住民税(約10%)の納税義務が出てきます。
納税額は大したことはありませんが、扶養者(あなた)の会社から奥さまの扶養手当をもらっている場合は、扶養手当がカットされるかもしれません。
年収103万円は月収85,833円ですが、会社によっては1カ月でもこれを超えると扶養手当をカットされるところがあります。扶養手当をカットされる方が額が大きいので注意です。
106万円の壁(社会保険の壁1)
配偶者の収入が年106万円を超えると、一定の条件の下で、配偶者があなたの社会保険の扶養から外れて、配偶者が自分で健康保険、厚生年金、雇用保険を支払わなくてはならなくなります。
一定の条件とは
1 正社員が501名以上の企業に勤めている場合
2 給与が月88,000円以上
3 雇用期間が1年以上
4 所定の労働時間が週20時間以上
※ 2022年10月からは、これまで「501人以上」だった勤務先企業の従業員数が、「101人以上」に引き下げられ、さらに2024年10月からは「51人以上」まで引き下げられます。
このすべてに当てはまる場合は、配偶者は自分で会社の健康保険と厚生年金を支払い、扶養者の社会保険の扶養から外れることになります。
年間で約18万円前後支払うことになるそうです。
ただ、この給与には残業分の金額や交通費などは入らないので、例えば1日4時間のパート契約で、本来は7万円ほどの手取りのところ、残業で一時的に10万円を超える月が何度かあったとしても106万円の壁には該当しないようです。
ただし、恒常的に残業が発生する場合は、残業代を含めた額で88,000円を超えれば106万円の壁に該当します。
130万円の壁(社会保険の壁2)
106万円の壁に該当しなくても、年収で130万円を超えると、自動的に健康保険、厚生年金、雇用保険は配偶者が自分で加入しなければならなくなります。
奥さまが会社勤めでない場合は、自分で国民健康保険と国民年金を支払うことになりますが、この場合は月約3万円かかり、年間で36万ほど奥さまが払うことになります。
この壁は大きいです。年収が180万円以内なら、130万円の壁を守る方が得です。
ところで年末調整は税金の調整なので、年末調整自体は社会保険の壁とは別問題です。
年収103万円を超えても、以前なら受けられなかった配偶者特別控除が受けられるので、社会保険や会社の扶養手当などをにらみつつ、許される最高額の年収まで奥さまに働いてもらうのが得策です。
配偶者控除額または配偶者特別控除額
扶養者(あなた)の年収が900万円以下の場合で
※( )内は収入金額です。
配偶者の所得48万円(収入103万円)以下かつ配偶者が70歳以上 38万円(配偶者控除)
配偶者の所得48万円(収入103万円)以下かつ配偶者が70歳未満 38万円(配偶者控除)
配偶者の所得が48万円(103万円)を超え95万円(150万円)以下 38万円(配偶者特別控除)
配偶者の所得が95万円(103万円)を超え100万円(155万円)以下 36万円(配偶者特別控除)
配偶者の所得が100万円(155万円)を超え105万円(160万円)以下 31万円(配偶者特別控除)
配偶者の所得が105万円(160万円)を超え110万円(165万円)以下 26万円(配偶者特別控除)
配偶者の所得が110万円(165万円)を超え115万円(170万円)以下 21万円(配偶者特別控除)
配偶者の所得が115万円(170万円)を超え120万円(175万円)以下 16万円(配偶者特別控除)
配偶者の所得が120万円(175万円)を超え125万円(180万円)以下 11万円(配偶者特別控除)
配偶者の所得が125万円(180万円)を超え130万円(185万円)以下 6万円(配偶者特別控除)
配偶者の所得が130万円(185万円)を超え133万円(201万5,999円)以下 3万円(配偶者特別控除)
以前は所得75万円(収入で140万円)を超えると受けられなかった配偶者特別控除が受けられます。
ちなみに所得95万円以下とは年収で150万円以下です。